忍者ブログ

浪漫的如夢

はぞっとする

年に危険な敵性外国人として拘禁された)。コロンビア大学のブラドリイ教授は穏当な立場を取って、ある種の未知の成分が大量に認められることを指摘し、いまのところ分類は不可能だと述べるにとどめている。
 不思議な冊子の存在、性質、内容は、由々しい難問になっており、解釈しようとする試みさえおこなわれていない。現存する本文をすべて、現代の言葉で可能なかぎりの逐語訳をおこなって提示するので、これを読む人がいつか解釈の手がかりを見いだして、近年最大の科学上の謎の一つを解決してくれることを願う。

 そこは狭い場所で、わたしはひとりきりだった。わたしがいるのは目にしみるような緑色の草の揺れるところで、片側には海があった。青く、明るく、ゆったりとうねる海は、薄靄《うすもや》のような水しぶきをあげ、わたしの胸をときめかせた。事実、水しぶきがあまりにも多いものだから、海と空が一つになっているという妙な印象を受けたものだ。諸天も海と同様に明るく青いからである。反対側には森があり、海そのものと同じくらい古くから存在し、果てしなく内陸部に広がっている。木々がグロテスクなまでに大きく太く、信じられないほど数多いので、森のなかはことのほか暗い。巨大な幹ような緑色をしており、わたしが立っている狭い緑の草地と不気味に溶けあっている。少し離れたところでは、異様な森が水際まで広がって、海岸線を消しさり、狭い草地を囲んでいる。木々の一部は海中からはえており、森が広がりゆくのをさえぎれるものは何もないかのようだ。
 生きものはついぞ目にしたこともなく、わたし以外の生きものが存在した痕跡すらない。海と空と森がわたしを取り囲み、想像を絶する領域へと広がっている。風に吹かれる木々のざわめきと波の寄せる音をのぞいては、耳に届く音もない。
 沈黙の草地に立っていると、急に体が震えはじめた。どのようにしてここにやってきたのかもわからず、自分の名前や地位もろくに思いだせなかったが、まわりに何が潜んでいるかがわかれば、気がふれてしまうように思えたからだ。わたしは遙か遠くの他の人生で学びとったこと、夢に見たこと、想像したこと、切望したことを思いだした。天の星ぼしを見つめては、肉体をもってしては到達できない広大な深淵を、わたしの自由な魂が渡れないことで、神々に不敬の言を吐いた長い夜のことを考えた。わたしは古代の冒涜《ぼうとく》行為の数かずや、恐ろしくもデーモクリトスのパピルスを読みふけったことを思いおこしたが、記憶がよみがえるにつれ
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R